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マボロシの男たち(エロ風味) ブログトップ
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昼下がり(または転寝) [マボロシの男たち(エロ風味)]

好きな人に愛の告白をしている夢を見た。
うたた寝から目覚めると目元が濡れている。舌打ちをして気づく。
そういえばあの人の夢をしばらく見てない。
結局は新たな呪縛に囚われただけなのかもしれないけど。
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男がいなくなった日 [マボロシの男たち(エロ風味)]

さて今日から一人なのだ。問答無用に。

どんな男でアレ、私は自分とかかわった男を責めることは、ない。なぜなら選んだのは自分なのだし、どんな結果にしろ、そこを選択したのもまた自分だと思ってしまう。そういう「キリのよさ」を理解している男は、遠慮なく私を使うが、それだってそういう男を選んでしまった自分の責任なんだと、私は熟知している。結局は自分の意思の問題なんだと。利用するような男を選んでしまった自分の不徳に過ぎない。

しかしそんな私の意志や環境やら状況やらとは無関係に胸は月の満ち欠けとともに張り、乳首は硬くとがる。そこを欲する人間がいようがいまいと。さびしいのでナイトブラをつける。手のひらにつんとした感触を残すおっぱいが、なんとなく自由さを教えてくれたような、気がした。


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おもいを断ち切る。 [マボロシの男たち(エロ風味)]

肩関節へ刃を入れる。
ナイフはゆっくりと筋肉を侵食していき、やわらかい脂肪を押しのけ、おさまっていく。私はそれを見ている。行いながらじっと見ている。痛みはない。意思が凌駕している。

半分ちょっと入れたところで、手前に引く。

嫌な音がして骨にあたる。骨と骨をつなぐ腱を引き裂きながら刃をすすめる。血が噴出す。脇まで斬ったところで、元に戻し、また同じように。腱をすべて切断したところで、左肩をもち、間接を動かす。鈍い音がして肩が外れる。左手を放り投げると今まで身体の一部だったとは思えないほど無関係に落下していく。なくなった肩をみてなんとなくさびしい感じがする。

誰かへの思いを断ち切るとき、私は必ず身体の一部を切り離すことを想像する。相手への思いに応じて部位を決定する。部位が心臓に近ければ近いほど、あるいは大きければ大きくなるほど、それが巨大だったことの証左となる。首はまだない。あの人を本当に思い切ろうとするならば、首が相当するのだろうけれども、あまりにも一体化しすぎていて、思い至ることが出来ないのが正直なところだ。今回は、左肩だった。感情がわきおこるたびにこれを繰り返す。

あと何回この作業を行えば、感情を過去のものとすることが出来るんだろう?ハニー。


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車にのってどこかに行きたい。夏はもう終わったのだから。 [マボロシの男たち(エロ風味)]

以前つきあっていたひとは車大好きだったから、なにかあるとすぐ車がでて、そしてドライブ。一週間に一度は犬吠崎へいったり箱根へ行ったりあちこち、あちこち。あの人はいつも政治の話を繰り返してたまにjazzの話をしたり。若い頃の無茶やいかにして玉突きを手際よくこなすかといったことをはなしていた。彼はほとんど体臭がしない人だったが、たまにタバコのにおいにまじって鼻をかすめることが有った。それはどこか懐かしい磨りガラスのように。わたしはただ彼を見ていた。それだけで会話は十分に成り立っていたのだ。世界はいまよりもっと単純で、ただ二色にすぎない。私と彼とその他と。小さなドームに覆われていたことに気付いた私は、彼を捨てた。物を投げ捨てるように。笑いながら屠った。

真島昌利の「夏のぬけがら」を聞くと、そういうあのときのあの郷愁が「いまここ」として心臓を鷲掴みにしながら、こちらの身体に迫ってくる。生々しくあたたかい。

おそらく、わたしはいまもこのひとを愛しているし、きっとこの人に対する呪縛は一生解けないだろうと覚悟している。それが私の彼の恩にたいしどれだけひどい仕打ちをしたのか、その償いであると思っている。いまもまだ毎日夢に出てくるけれども。起きて気づく涙の跡を舌打ちしながらぬぐいつつ一日がはじまるのだ。

私がある時期、どうしても真島昌利の「夏のぬけがら」を聞いてしまうのは、痛みの追体験だからだろう。涙は痛みとともに流れ、彼のひっかくような歌声は私の体を傷つけ、血が吹き出す。だがその傷の下には、もう新しい皮膚ができていて、また私は新しくなれる。この脱皮を何度繰り返せば、彼が過去になるのだろうか。一生無理かもしれないと絶望的な気持ちになりながら、私は祈る。彼が幸せな人生を過ごしますように。偽善であるのはわかりきっているけれども。それでもわたしは祈らずにいられない。

思い掛けないほどこの文章がセンチメンタリズムに浸りすぎるのは、真島昌利がこんな歌詞を作るからだ、と責任を転嫁して私は眠る。今日の夢に彼が出てきませんように。今日の夢でまた再び彼に会えますように。

「一晩中地獄の炎にやかれるおまえをみていた。つらくて張り裂けそうなおまえの痛みをみていた。だけどなにができるんだろう?おまえを救い出すことなど、とてもできるわけがないよ。嘘をつきたくはなかった」(ルーレットより)

夏のぬけがら

夏のぬけがら

  • アーティスト: 真島昌利
  • 出版社/メーカー: トライエム
  • 発売日: 1989/11/21
  • メディア: CD


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愛するあなた [マボロシの男たち(エロ風味)]

私は彼の名をさけびながら、その腕へと倒れ込んだ。

長いあいだ、ずっと待ちこがれていたような、だが彼の体臭から離れたのはほんの一時ぐらいのような、生暖かく不確かな感触だった。逢いたかった。懐かしかった。愛している!もう一度少しつぶやくように。愛してる。

わたしたちはうんざりするほど長きにわたって離ればなれとなっていた。それも、すべては過ぎたことだ。広さも厚さもなにも変わりがない。元のままだから、ああ、私はため息をついて、顔をこすりつける。彼の鼓動が頬に響く。芯の熱さが感じ取れる。彼も私を待っていてくれたのだ。唇をかみしめた瞬間に涙が落ちる。ひとつ、ふたつ。ばかだなあ、と上から苦笑した声。そんなにするほどのことかよ。よくわからないや、と私は彼の中に潜り込もうとする。もうなにも心配することはない。ない。

 

目が覚めた。頭を振って身体を起こし、洗面所で顔を洗いながら、充血した眼を見つめ、私は病んでいる、そう思った。


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アタシと俺とアナタ [マボロシの男たち(エロ風味)]

「女ができた」と彼はいつだってそんな風に。

ああそう、と私は別なほうを見て答える。これは一体何度繰り返されたことだろう。男は出たり入ったり。私だって、できることならそうしたい。

男への執着に自ら絡めとられ身動きができない時期なんて、とうの昔の過去はるか。いまここでこうしているのは、あのときの記憶によるのかそれとも恩讐のかなたの悟りの境地か。それとももっと別の、もう一度この先に何かがあるという儚くて漠とした--期待というには薄すぎる思い込みみたいなものか。ふたたびって、私はまたなにをしたいというのだろうか。彼と。

「やさしくしてくれそう」と私。いや、君のほうが、と彼は訳知り顔に。指示代名詞と述語と主語が錯綜してまったりと顔を見合わせているような会話に、そうね、とだまされるほど若くはない。彼はそれで騙せるとおもうほど愚かではない、だろう。

全てに適用されるルールのように、彼は私を押し倒す。手順は寸分狂わず、私は半ば明るい頭で、あの女にもこうしているんだろうな、とわかっている。身体と心が分離した夜は、歯が痛くなるほど甘ったるいものが欲しくなる。ジャニスがサザンカムフォートをラッパ飲みする。アンタも男を愛したね、と呟きながら飲めない私でも甘い酒に頼らざるを得ないときが、ある。こんな苦い宵の口には。


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私には愛が足りない。 [マボロシの男たち(エロ風味)]

私には愛が足りない。絶対的に足りない。

彼の死体が目の前にあった。畳の上で奇妙に捻れ、煩悶したように硬直し、顔は、その体躯の苦悶にもかかわらず、真摯で柔らかい表情だった。笑って死にたいというのが口癖だったけれども、口の端にかすかに片鱗が伺えるだけで、結局彼の夢が潰えていたのを知った。知ったところでどうにもならないが。

私は彼の遺体を前に呆然としていた。

私を支配し、私の上に燦然と光り輝く存在であった彼が、別れてもなお毎日夢に現れ、私の五体へ自らの存在を刻み続けていた彼が。いまここに、このようなカタチで実体化しているとは。それにしても私は途方に暮れていた。ここでオナニーでもすればブンガク的なんだろうけどと妙に白い頭で考えてみたりして。少し面白くて笑った。死体はその笑いを打ち砕いた。

故人と私には或る約束があった。

彼は生前「俺が死んだらナニを切り取って、お前食えよ」と笑っていた。私はただ真正直にうん、と答えていた。それを実現させるのが当時の私のいきる目的だったから。

包丁を取り出した。

きちんとプレスされた綿パンツを脱がせ、ああそれはとても懐かしい作業。トランクスに、触れることは出来なかった。食べたい。そして食べられればどんなに幸福だろうか。だが私は、約束でアレなんであれ、彼を壊すことは出来ない。そっと元通りにして、それから甘酸っぱい死臭の中にいた。甘く爛れた匂いに包まれて。

私はそのまま。しばらくずっと彼の遺体と暮らしていた。人が来て悪臭を訴えてもそのままだった。だがある日、大勢の人間が私の部屋に踏み込んできて、テディベアのぬいぐるみにナイフを突き立ててそのまま裂いた。やめて!と私は力一杯絶叫し駆け寄ろうとしたが強い力で羽交い締めされ身動きが出来なかった。片目が飛び出しぼろぼろとワタをこぼしたテディベアからは。剥き出しになった彼が――骸骨が現れた。私は気を失った。

目が覚めた。私が彼の呪縛から逃れられるのはいつのことだろうか。だから私には愛が足りないのだ。絶対に。


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春の嵐(または椿事、もしくは悔恨ゆえの回帰) [マボロシの男たち(エロ風味)]

強い風の吹く日はどうにも高揚してくる。なにかが起こりそうだ。期待に満ちた高揚感は春ならではだ。なにかが変わるなら。変えたいとおもうことも、ある。そうしてそんな『風の強い春の日には』そういう人と再び出会うのだ。

元気?と久しぶりにアノヒトと会話した。そっちはどう?まあまあよ、そんな具合に話がつづく。昔ああいう縁のあった人とめぐりあわせがあるのも春ならばこそか。多少の歳月を経た顔を見つめれば、私好みのナニでないことを除けば(つまりは大きくて非包茎者ってこと)細くても筋肉のついた体つき、生真面目に物事へ取り組む姿といい、いい男だった、わけだけれども、キオクが「それがつい今しがたのように」奥に放った汚泥の中からゆっくりを身をもたげる。誤差やブレがないということは本当に残酷なことだ。

あのとき--お互いの状況やら気持ちやらなにやらとにかく丸ごとうまくいかずに実ることなく離れてしまった後、私はしばらく引きずって似たような男へ魅かれたこともありつつ、それでも時は経ち。私にも彼にももう誰かが寄り添う状況である。なんか安心したよ、と彼は笑う。その無防備さについ、私が好きになる男は私を好きにならないよ、あなたのようにね、と付け加えた。

彼は少し苦い顔をして、彼女と知り合う前にこうしていたら、わからなかったよ違う展開だって、などとという。そういうサービスできるようになったとは成長したねえ、と微笑んでみる。年下の男は意外なかたちで成長を見せてくれるものだ、と訳知り顔をしてみても。そんな風に言われてしまえば多少は期待してしまう。

春は甘くて苦い。その苦味が増すようになれば、自らの年を知る。いつの間にか「大人」になってしまった。「大人になるのって難しいんじゃないスかねえ?」と映画の向こうで笑う男もいるけれど。「俺たちいつまでこんなこと、やってんスかねえ」


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彼のあとを追うために拳銃を買った [マボロシの男たち(エロ風味)]

ここのところ、毎日のように、彼をみる。

目が覚めて汗とも涙ともつかないイヤな感触を感じると、いまさらのように映像が浮かんでくる。彼の顔、彼の目、彼のにおい。なにより思い出すのは、その低くて滑らかな声だ。呟くように話しても不思議と一語一語きちんと耳の中へ流れ込んでくるあの声。

そこへいくにはもう戻れないほど遠くへきてしまったし、いまさらどのツラ下げてともいえる。どちらにしろルビコン川をいったん渡ってしまったのなら、あとは進むしかない。サイは河原に投げ捨てられて、もうまぎれてわからなくなってしまったのにすでに。

それでも。ここしばらくは見なかったのに。ちょっと前まで毎日、私の傍らで寝息をたてるのが誰であろうと、あるいは私がどこで眠ろうと必ず生真面目に几帳面にあらわれていた。ようやく呪縛はとかれたのかと思っていたのに。私の中で何が変わって何のために彼を呼び寄せたのだろう。

人生の中で結婚してほしいと望むあるいは望まれることはそう多いことではない。私は一度だけ、結婚してほしいと相手に告げたことがある。願いは通じなかった。それでも私には彼が必要だった。私にとって彼は生育環境として絶対になくてはならないほどの人だった。私の心臓であり、私の脊髄だった。彼がいなくては生きていけない、死んでしまったらどうしようと泣いた日も、数え切れないほどだ。笑ってしまうほど感傷的だが、その真剣さを自分でももてあましていたことは事実だ。だから、私は自分から離れてしまったのだろう。私が望んだ結果を彼は提示したにもかかわらず。彼を無造作に廃棄し、後ろを顧みることもなく。

最初、彼は私のことなど歯牙にもかけていなかった。年齢が違いすぎたし、育った環境もまったく違っていたから。それでも彼は長い時間かけて私と目線をあわせてくれた。「空気みたいになれる女はいないと思っていたけど、お前はなれたなあ」と目を細めていたのは昨日のことだ。夜中にたたき起こされて車に乗ったのは一昨日だったか一週間前だったか。錯誤した時間はまじりあいまた私を混濁させる。

利己的な人間だという自覚と、人間なんてそんなもんだという居直りが同居している。それでも彼の空虚で力強い視線をおもいだすたびに、そういったごまかしが、汚濁した自己正当化にすぎないことを身体へ直接なまくらの刃で刻みこまれるようだ。彼の流した血を思えば、私の痛みなどどれほどのものだろう。こうして硝子をこすり合わせるように相手と接するのが愛というものならば、私は文字通り、いまもむかしも変わらず彼を愛している。月日は流れ、私は残れども。まだ彼の手には私の心臓が握られている。ハスリン・ダン、私は拳銃を買えなかった。ブローニングで撃ち込むのは、私の肉だ。あのまま死ねたらどんなによかっただろう。

もういい加減にしてくれ、と私は自分自身に怒鳴りつける。これ以上私を惑わさないでくれ。もう泣かされて目覚めることはいやなんだ。勘弁して、と語尾が微かに変化していく。泣くしかないんだ、と悟る。勢いに任せてただ泣く。

「どうしたの?」
大丈夫?と『彼』が顔をのぞかせる。

うん大丈夫。少し、笑うことが出来た。


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惑い [マボロシの男たち(エロ風味)]

子供産んだら相手も変わるよ、とそいつはいった。
案外いいパパになるかもよ、と続けて微笑む。そう、とわたしは短く答えた。それが私にとってどれほど残酷な言葉か、彼は知らないのだろう。知っているのならまだ救いがあるけれど。
久しぶりに足をひらく。それでもきちんと体は動いてくれる。思惑とは別に。口の中に舌がめり込んでくる。ねじ込まれた舌が別種のイキモノとして動く。それは淫靡さではないある種の運動性を感じさせる。その開放的な動きに身を任せながら私は目を閉じる。まぶたの内側にはひっそりとした闇が広がっていた。

そのまま闇の中へまっすぐに落ちていけば、私はなにも感じなくて済むだろう。きっと。


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