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おもいを断ち切る。 [マボロシの男たち(エロ風味)]

肩関節へ刃を入れる。
ナイフはゆっくりと筋肉を侵食していき、やわらかい脂肪を押しのけ、おさまっていく。私はそれを見ている。行いながらじっと見ている。痛みはない。意思が凌駕している。

半分ちょっと入れたところで、手前に引く。

嫌な音がして骨にあたる。骨と骨をつなぐ腱を引き裂きながら刃をすすめる。血が噴出す。脇まで斬ったところで、元に戻し、また同じように。腱をすべて切断したところで、左肩をもち、間接を動かす。鈍い音がして肩が外れる。左手を放り投げると今まで身体の一部だったとは思えないほど無関係に落下していく。なくなった肩をみてなんとなくさびしい感じがする。

誰かへの思いを断ち切るとき、私は必ず身体の一部を切り離すことを想像する。相手への思いに応じて部位を決定する。部位が心臓に近ければ近いほど、あるいは大きければ大きくなるほど、それが巨大だったことの証左となる。首はまだない。あの人を本当に思い切ろうとするならば、首が相当するのだろうけれども、あまりにも一体化しすぎていて、思い至ることが出来ないのが正直なところだ。今回は、左肩だった。感情がわきおこるたびにこれを繰り返す。

あと何回この作業を行えば、感情を過去のものとすることが出来るんだろう?ハニー。


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