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勝敗なき勝負を戦い続けるには!?-映像夜間中学の旅2005年1月(その2) [映像夜間中学への旅(映像夜間中学レポ)]

■ 唐十郎監督安藤昇主演「玄界灘」

では勝敗なき勝負を戦うというのはどういうことなのか?ということで、唐十郎氏(「近所のお友達の敵ですけど」)監督安藤昇主演「玄界灘」の劇中歌「黒犬」がその場面とともに上映された。前後関係はわからない。安藤昇は米軍兵士の識別証みたいなネックレスを手にいっぱいジャラジャラともち、ボロボロの汚い小屋みたいなところで(後に廃船と判明)それを磨いている。「♪~糸のないギターを弾いてくれ、小僧!糸のないギターを弾いてくれ...」しばし語りが続いた後「♪なぜそんなに飢えるのか~俺のくろ~いぬ~♪」という歌が流れる。「だから大切なのは糸のないギターを弾いてくれといわれ、糸のないギターを弾けといわれてもやっぱり弾けない。でも弾かなくてはいけない。でそのヒントはですね、ぴんからトリオの宮五郎にあるんだな。宮史郎(※注釈1)の横でボーっとして糸のないギターを弾く宮五郎の姿にそのヒントがある。弾けないと早田さんみたいな人とは付き合えないですし。」

■ PANTAと電気菩薩

根本学長が頭脳警察のPANTA氏と会ったとき、電気菩薩の話となったそうだ。内田氏と対談したという話から電気菩薩の話となると、俺は同じような意味で自分のアルバム誕生に電気牧場という風に使っているよ、と言われたそうだ。早速探すと、誕生には電気牧場という題の曲はなく、歌詞の中に使われていた。ちなみにその曲名は「あなた方の心の中に黒く色どられていない処があったらすぐ電話をして下さい」(この題、例の烏山系アーティストを連想...。「N○○に一日十回電話しなさい!といわれたのをね...ええ...」)PANTA&HALのライブ映像をバックに電気牧場の曲が流れた。電気菩薩はイイ言葉だね、俺も使っていい?とPANTA氏より提案があったとのこと。「個人検閲機関がナカナカ厳しい」ので、被害にあわないといいですけどね...。

■ パン店こさり(※注釈2)の映像

「夜間中学版NHKアーカイブですね」と根本学長。「これ、いつも夜間中学で流そう流そうと思いながらずっと流せないでいたんですが、今回は流せそうなので」ドキュメントの前になぜか釜が崎越冬まつりのニュース映像らしきものが。手違いのようだが学長は「あ、ここでね、ステージのおばちゃんと握手するとき股間触る親父がいるんだよ!よくみてて」とそのまま続行。‘釜が崎人情’を簡素なステージ上で熱唱する演歌歌手のおばちゃん。歌いながらステージ下の観客と握手するんだが、本当に股間触っている親父がいた。いいなぁ。そこで本編に戻り、こさりのドキュメント映像となる。ナレーションは樹木希林氏。内田氏ではじまり希林氏で終わる。これもワザワザだなぁ。テーマは喜納昌吉...しかも花~すべての人の心に花を~だ。どうしてこういうドキュメントってこのテの曲になるんだか。人生解毒波止場の因果航海日誌で触れられていた‘フサさん’である。カメラをがんがん叩いたりして、かなりエネルギッシュな人だ。こんな言い方をしたら大変失礼だけど、このドキュメント、フツーに面白い。視線とか距離のとり方なんかにありがちな過剰な思い入れというのをあまり感じなかった。‘しょーがねーなー’という苦笑交じりの温かさがにじむ。‘そういう仕事’をしているFはいろいろと興味深いらしく、ふむふむと感心してみている。ビデオ借りたら?ときくも「うーん、ちょっと古いからねえ」確かに古いのだが、とにかく縦横無尽に走り回るフサさんにひきこまれっぱなし。根本学長が「‘高野聖’にでてくる白痴はおそらくこんな感じじゃないのかと」というユキオくん確かに神々しい。余り登場しないのに強く印象に残る。時間のせいか内容のせいか、このあたりで途中退場者続出。もったいないデスネ。しかしフサさんは本当にスゴイ。近くの中学校から女子中学生がこさりを見学しにくるのだが、無邪気に、わーなんて手をたたいている女子中学生に対し、じゃあ一曲、と「あなたの肌が恋しい~♪」(うろ覚え)というような歌をうたったり、「男と寝るのも好きやねんで」と言い放ったり、あるいは実のお姉さんに「この淫売!」と怒鳴ったり。いやはや。あげく、地元の祭りののど自慢大会に出場したが曲などを間違えてうまく歌えなかったから、と撮影カメラマンに蹴りを入れて八つ当たりする始末。しかしこののど自慢で唄ったのはパンソリか?とても上手だった。その他店のおつりを盗んで逃亡したり等々トラブルを起こすのだが、なぜか憎めない。時折見せる表情が驚くほど道LA STRADAのジェルソミーナ(※注釈3)に似ている。ジュリエッタ・マシーナがフサさんと同じような障害者に取材したのだろうが、それにしても酷似していた。フサさんが通っているホンモノ(というか表というかなんというか)の‘夜間中学’の模様が紹介されると観客はやんややんやの喝采をおくったり。最後にメッコールと書いてある自販機(メッコール専用?)もうつされ、とにかく大満足。

■ 「私の人生は映画」

ユキオくんに連なる人物として蛭子さん。彼らは無意識派の代表であり、かたや早田さんや神軍平等兵といった自意識派がいる。「自意識派の人って必ずいうんですよね'私の人生は映画です'って。」勝新いわく映画はNGギリギリが完璧だそうで、「そうすると人生はNGギリギリが完璧ということになりますね」ジョニー・ギター・ワトソンの話になる。フランクザッパもリスペクトするブルースマン。勉強不足の私は初耳だった。「名前に'ギター'と入れているくらい、つまりギター=自分というか」彼は97年日本公演中に亡くなる。横浜のステージ上で。皮肉なことに‘ジョニー・ギター・ワトソン’なのに、演出上の理由でギターを持たずに死んだ。(最初はギターを持たずに唄い、2曲目からギター演奏する段取りだった。)
「これはNGなのか?さっきの話にてらしあわせると。NGなのか?と問われると―俺はOKだと思う」

私もOKだとおもった。

(20:25に始まり、終わりは23時過ぎ。お疲れ様でした)

※注釈1 宮史郎 ― ぴんからトリオ。「女の道」で有名。なお宮史郎のHPは3846WEBという名。とってもイカス。

※注釈2 パン店こさり ― 身寄りのないユキオくんを養育する目的で設立されたパン屋。彼は重度障害者でしゃべることも自分で飯を食うこともままならない。だが社長である。それが納得できるからすごいと思う。

※注釈3 ジェルソミーナ ― 道LA STRADAにでてくる知恵おくれの女芸人。貧しい家から大道芸人のザンパノという粗暴な男に買い取られ、悲惨な目にあいつつも魂は美しい。かなしみ。


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