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愛されたいキミ愛されないね どしてなんだろうね [みちゃイヤン☆(エロ濃厚)]

そうねえ、と彼は私の髪を弄びながら言葉を切った。
 
彼は服を着ているときと脱いだときの印象に、かなり差のある人である。スーツ姿は単なるその辺の気弱なホワイトカラーにしか見えないのだけれども、こうしているときは、肉体労働者的な感じすらする。精悍さ、ではなく、開き直ったふてぶてしさ。
 
「待っててもしょうがないんじゃないの?状況はどうしようもないしさ。出会い系でイイのを見つけるとか」
 
そういうときはさ、俺のところに来れば?っていうのが王道なんじゃないの?そんな、人の乳首触っている場合は特に、と返すと、片手の動きを止めて、いろいろあんのよ、と後ろから腕を回される。彼の厚い唇が頬に触れる。もっといい男いると思うんだけどね、なんてなんの慰めにもならないじゃないか。私が黙っているので、もう一度同じ動きがはじまった。爪ではじかれる。強い刺激をうけて、そこは硬くなっていく。乳房をつかまれる。まさにもみしだくという表現そのままである。扱いがどこかぞんざいで、それが意図せざるものだから、本質的にサディスティックなんだろう。背中につめたい期待がはしる。体温が上昇してくるのがわかる。彼は私の首に歯を立てた。べったりとあてられた舌が少しずつ動く。長い手が私の体の中心をまさぐっていく。尖って熱を帯びたそれに、円を描くように触れる。声が漏れる。あまり大きい声を出さないように、と耳朶に吹き込まれた。熱い。
中に指が侵入してくる。やすやすと受け入れてしまう身体に悔しさと、そしてそこからくる甘い痛みをため息で受け流した。勝手知ったる他人のイエ。彼が嘯く。ごつごつとした男性的な指は、外見に似合わない繊細さを保持していた。はやさが増す。あとからあとから、と彼は歌うように。あふれる泉枯れることなし。腰のほうから全身にしみわたるように広がる。むらさきいろ、と私は思った。うすむらさきいろに身体全体が染め抜かれていくようだ。おわりは、ちかい。その刹那、彼は指を引き抜いた。そして私の身体を引き倒すと、膝を割り、頑健な身体を入れてきた。
あてられた、とおもったらもう貫かれていた。ながい。さらにより深く突き入れようと、足を抱えられた。ぴったりと押し当てられる。引き込むように自由意志をもって動くそこをちらりと見て、彼はいう。欲しがっちゃって、しょうがないな。眼を閉じて闇の奥へと落ちていく。腐乱した花のような、におい。
 
 
わすれればいいんだよ、とあっさりその男は断言した。
 
えーーーーと語尾をひっぱってみても、だってそうする以外に、なにがあるのよ?と冷静に諭されてしまう。
 
「結論が見えているのに、いつまでもこだわっててもしょうがないじゃん」
 
二進法を自身の信条とする男は告げる。竹を割れば導き出される答えはそれしかないのかもしれないけど。あまりにも明確であるがゆえに、私はかえって首肯しかねるのだ。趣味だよ、趣味に没頭すれば、すぐに忘れるさ。
 
「そりゃあなたは戦闘機を追っかけてればなにもかも忘れちゃう人だけど、そううまくはいかないよ。」
 
だいいちそういうときは“俺が忘れさせてやるよ”というのが礼儀ってもんじゃないの?なんて口の端をあげてみる。
 
「そういう第三の道はあるけどさ、そういう手間を男にかけさせるのはどうかと思うよ。それは自分がやるべきことであってさ。」
 
尻拭いなんかごめんだね。言外に宣言されれば苦笑するしかない。同時に、どこかに含みがあるようなその言葉を体の中で反芻してみる。
 
夜を走る。夜を疾駆する。大腿四頭筋は躍動し、大臀筋が収縮し、グリコーゲンとアドレナリンが駆け巡る。私はゼロを目指して動き続け、それを越えた先にあるものを見ようとする。トータルで考えれば、私は思う。今のこの状態も、そう捨てたものじゃない。
 
来月になったら、会えるかなと私はいった。
約束するよ、と「彼」は言った。
 
空は晴れる。螺旋階段の先はまだ見えない。
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