SSブログ

そこじゃないでしょ(和食認証制度をめぐるあれこれ) [たまには真面目に語ってみる(コラム)]

以前、私は、あるテクストを元にAとA'という風に解釈が別れる場合、その両方に対して理解できるという立場をとることが重要であると記したことがある。

「和食認証制度」という今後どういう運営がされるのか、現在発表されている政府概要だけでは、ハコモノ行政レベルで終わるのか(利権系)、それとも輸出推進路線(行政主導民間委託)でいくのかまだ見えにくい問題に対して、であるがゆえに、利権系となる恐れを指摘することも、輸出拡大につながると肯定する意味もよくわかる。両方の立場を取ることは可能である。論拠として理解できるので、議論として成立するといえる。

だが、例のあのお方のいうような「美しい国」レベルの言説ではどうか。つまり具体性を欠いた形容詞や例えをだされて反対・賛成といわれてもそれでは何の意味もない。伝聞レベルの内容で論拠を立てるのはデマを誘発するだけであるということは、おととしあたりに書いた「民主党沖縄Flash」問題で私は懲りている。

私の「和食認証制度」に対し疑問を呈した記事へTBを頂いたが、その方の記事を読んでそういう意味では少々フシギな感覚を抱いた。上記のような観点から賛成論を唱えるのならわかるが、刺身食べるから、という話しをもちだされてもなあ。日本や中国、東南アジア南米アメリカフランス(このうち「和食認証制度導入問題」になっているのはアメリカではあるけれども)の、いずれの国もそれぞれ食品衛生法というのは存在するとは思うし、違反すれば処罰されるのはその担当者であり、批判されるべきは衛生法を違反した人間であり、その料理を伝えた国、ではない。恐ろしいのは(鳥インフルエンザのように)風評被害であって、正直、具体的論拠に依拠しない話はどんなに優れていたとしても、風評を広めている謗りからは逃れられないと思う。私がブラジルにいたときも、当時流行っていた赤痢の原因が刺身とされたが(その割りに生水がんがん飲んでるから馬鹿だなとは思ったが)、風評はいわゆる「人の噂も七十五日」であって、売り上げ減はむしろその後に乱立することとなった日本料理店によるもののほうが大きかった。いくら「民度」が低くても衛生法にまで首を突っ込むのは筋違いどころか内政干渉にあたる恐れもなきしもあらず。肯定反対ともにそんなところを論拠にはしてはいないと思う。

そういうわけで刺身を食べるから、なんていう論点を持ち出すとかなり変な方向にいってしまうのではないだろうか。そんな「例え」をだすとどこかのいぢわるな人から「日本は賞味期限切れの牛乳を用いる企業があるから、カフェオレはフランスの、カフェラテはイタリアの、ミルクコーヒーはアメリカの、それぞれの国から認証制度を要求される」なんてまぜっかえされて終わるだけと老婆心ながら申し上げる次第。

まあでもこういうことはねえ、皇統系譜問題でもどこぞのアレな学者さんが「ミトコンドリア」だのといった変な話を持ち出して失笑を買ったりしているからなんともかんともなんですけれども。

※元ネタになっている人から上記の「期限切れ牛乳云々」について指摘があったので記すが、これを書いたのはあるいぢわるな人である。元ネタ記事へのコメント欄では誰が言ったか明記しないで記したのだが(迷惑かかるというよりもだれだれがどういう風にいってましたがとコメント欄の中へ書くことにあまり意義をみいだせなかったからだ)どうも私本人の発案と思われているようなので注意書きを記す。このブログ記事はそのいぢわる(だけどステキ★)な人もみているので出展元を記しておいた。でないと著作権もしくは発案料を請求されるかもと被害妄想気味に思ったり思わなかったり。


nice!(0)  コメント(4)  トラックバック(1) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 4

こるち

またまた失礼いたします~。
こちらからはTBできたみたいです。

>そんな「例え」をだすとどこかの意地悪な人から「日本は賞味期限切れの牛乳を用いる企業があるから、カフェオレはフランスの、カフェラテはイタリアの、ミルクコーヒーはアメリカの、それぞれの国から認証制度を要求される」なんてまぜっかえされて終わるだけ

あれ?これって瑠璃子さまのお言葉じゃなかったんですか?
でも、私は混ぜっ返されるくらいなら平気ですよ~。
ディべートってそーゆーもんじゃないですかね^^;。
by こるち (2007-01-30 17:24) 

わらばー@見ッチェル

わざわざ海外に「すしポリス」を創設して、ニッポンのイメージをよっぽど大事にしたがってるようですなあ。
by わらばー@見ッチェル (2007-01-30 23:21) 

瑠璃子

こるちさま
コメントありがとうございます。
ただどうもいただいたTB記事を読む限り、前掲記事についてどうもご理解いただいていないご様子ですね。
もう一度趣旨をおかきしてTBします。
ちなみに、所信表明演説というのは、政治家の理念を語る場でありますので、歴代首相はみな理念を述べております。あの場で「美しい国」といったのは安倍総理だけだとはおもいますが「理念」は池田勇人であれ、岸信介であれ小泉純一郎であれだれであれのべてます。
それと「すべからく」は「すべて」という意味ではないのでご注意ください。ではまた。

ミッチェル
あの松岡がねえ。BSE問題のとき自国民の食の安全よりも食肉ドウワ利権を守ることに汲々となっていた人がねえ…変わればかわるものだ。すごいねえ。
by 瑠璃子 (2007-01-31 12:46) 

南郷力丸

 他の総理は、政治的な、社会的な概念によって「理念」を述べたけれども、「美しい」などという具体性に欠けた曖昧な概念で「理念」を述べたのは始めてということでは?
by 南郷力丸 (2007-01-31 22:41) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。