SSブログ

或る夜の会話(親しげな緊密さで) [マボロシの男たち(エロ風味)]

友達が結婚することになってさ、とわたしは話しかけた。

「ツヴァイとかいうロシアブンガクシャみたいな名前のところでみつけたらしいよ」とカツゼツよく。その冗談はまったく面白くない上に何の意図があるのかわからないな、と不機嫌そうでもなく彼はいう。わたしもはいろうかしら、と少しずらしてみたりすれば「いい人ができるかもしれないし?」と電話の向こうは声を潜めて笑う。まあねえ、とわたしはうける。

「そりゃいるわけないとは思うけどさ。映画文学音楽政治時事とコチラの望む全てにわたってプレイできるようなオールラウンダーなんてさ。嫌なことを言ってみると、多分私って院生院卒レベルじゃないとダメって気がして最近」わからないよ、と彼は明快かつ朗らかに。「キミ、それは差別だよ。コウインだって素晴らしい頭脳を持った人がいるかもしれないし」コウインってアームカバーして金数えないほう?村崎百郎みたいな天才は知らないわ。

贅沢を自覚しろよ、と彼は言う。「そんなやつはいないし、せめて分業制にしたら?」とはいうものの、でもさ、例えばよ、じゃあ政治の話をあの人としてくるから行ってくるねサヨウナラなんて、男にしてみれば最大級の侮辱じゃない?と私が返すと、そりゃあまあねえ、と口ごもってしまう。だからアナタの同僚を紹介してよ、と迫ってみれば「いやキミとは政治的立場を異にする奴ばかりだからさ」と呵呵大笑。アナタ含めて、政治的立場が同一な人と、私おつきあいしたことないのよと含み笑えば、受話器の向こうは少し押し黙る気配がする。

過去か、と彼が呟いた。過去よ、と私も呟いた。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。