SSブログ

共生社会を目指す、ねぇ… [たまには真面目に語ってみる(コラム)]

病院へ向かう車中では様々な光景が見られ勉強になることが多い。今日みたのはこんな出来事だ。

18時頃の電車内は非常に混んでいる。しかも私が乗っているのは混むことで都内では有名な電車の一つだった。ようやく隙間ができるぐらいの混雑具合。しかも急行だ。女性専用列車に乗れば良かった。私が乗ってから二つ目の駅でそれはおきた。人が降りて少し呼吸が楽になったとはいえ、まだまだウンザリする状況。そこに電動車椅子にのった脳性麻痺の方だろうか。男性が乗り込もうとした。茶髪にJリーグのチームTシャツを着ている。なにかを叫んでいるがよくわからない。乗ろうとしてもそれは無理だ。彼が乗る余裕はなくそのためには誰かが降りなくてはならない。それでも彼は強引に乗ろうとする。駅員が駆け寄ってきて「次のにしたらどうですか?」などと言うが彼は叫んでいるだけで会話が成り立たなかった。ドア付近にいた人びとは降りた。彼のスペースを設けるために。駅員さんが「すみませんねえ」という。続けて「どこへ行きたいの?」と問いかけるが彼の言葉は聞き取れない。何度か繰り返すウチに彼の近くにいた人が「××…じゃないかしら」と通訳をした。駅員は退き、電車は発車しようとするが、今度は電動車いすの荷物を載せる部分がドアにひっかかり閉じることができなくなってしまった。近くにいた人びとが協力しなんとか発車することができた。遅れてしまったけれど。

私が降りる駅に着き、車いすを避けるのに手こずりながらふと彼の方をみると、うつむいて車内に漂うある種の雰囲気を感じているようだった。その様子を気の毒に思いながら、駅で降りざるをえなかった人が急な用事じゃなきゃいいけど、とも考えた。そして共生社会というものについても。

私がここで言いたいのは、このテの話が某巨大掲示板に書き込まれると同時にレスされるいわゆる「身障は家からでるな」式のことではない。健常者と身体障碍者、双方が共生できる社会を目指す、と政府は言う。しかしこの状況は共生といえるのだろうか。私には正直彼がある種の自己主張を通した結果が見えただけだった。そしてそのため退いた人、車内にはある種の空気が漂ってしまった。権利を主張することとそれを強引に満たすことは違うような気がする。なぜ彼はあの時間帯に外へ出たのだろうか。重要な用事があるとするならばなぜ介添えの人がついてなかったのだろうか。失礼ながら彼の状態では、電車が空いている時間帯か混んでいるなら介添えの人が必要というように思えた。障碍者の自立は非常に重要で、ボランティア漬けがよくないということは頭の悪い私でもよくわかる。だが、あのような状況で自立というのも少々違うように思えてしまうのもまた事実だ。

私など小学校で人に迷惑をかけないように、といわれて育った。時と場所を考えろ、と。そういう風に育てられた人は割合多いと思う。譲り合いの精神とかマナーというのも人に迷惑をかけないように相手を気遣っておこなう行為といえる。彼は自分の欲求を満たし誰かはそれに譲る。そこに双方向の、いわゆる会話は成り立っているのだろうか。そういう方法でしか要求できない彼も不幸だ。このような状態は共生社会とはいえないと私は思う。ガザ地区におけるパレスチナとイスラエルの関係のように。主張を突き立てあい、ハリネズミのジレンマの如くお互い傷つけあうのでなく、あるいは片方が譲るのみでなく、本当の意味での共生社会というのはどういうものなのか、と病院に向かうバス車内でずっと考えていた。


nice!(3)  コメント(5)  トラックバック(1) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 3

コメント 5

NAJI

師匠!
どんな出来事か、非常に気になります・・・・。
by NAJI (2005-08-24 22:11) 

これ読んでとあることを思い出した…。
記事にするか?
なのかな?
by (2005-08-25 00:55) 

早速のTBありがと~ん♪(*^ー^*)
by (2005-08-25 02:02) 

NAJI

記事の記載中に書き込んでしまったようです。
失礼しました。
共生という意味で社会を考えてみると、まだまだ実現できていないと思うし、非常に難しい問題ですよね。
僕はこの話を読みながら、頚椎以下を全身麻痺している社長の話を思い出しました。
名前も顔もそんなにはっきり覚えていないけど、その社長は自分の車椅子生活の経験を生かして、福祉介護の機器を開発販売して、成功しているとの事でした。(おとといのテレビより。)
何でも、身体に障害のある人の気持ちが判る商品を出しているとか。
すばらしいことです。
人にはそれぞれ理解できないことがあって、僕は特に身体に障害のある人と話したりするときには気を使ってしまいます。身体的に経験できない事を思いやるのって、非常に難しい。
(気を使われることがとても嫌って言われることもあるけど、使わないわけには行かない僕の性格。。。)


僕はこの件に関しては彼
が悪いと思いますが、果たして彼がそれを認識できていたのかは判りません。
難しい問題ですね。
by NAJI (2005-08-25 13:27) 

瑠璃子

>ひかりこ氏
TBありがとう。関連記事作成感謝。
そうなんだよねえ。こう難しい問題なんすよ…。

>NAJI氏
いやいいですよ。私も間違って送信しちゃっててねえ…。騙したみたいで本当申し訳ないです。
私もね、その社長の話見たことがあります。そういう形で商品開発するってかなり実践的でいいな、と思いました。身体的に体験といえば、重りや遮光眼鏡をつけて80代を体験するっていう企画がどこかのニュース番組でやっていた気がしますが、そうすると皆驚くみたいですね。こんなに見えないのかーって。やっぱり相手の立場にたつって言うのは口で言う程簡単じゃないっすね。
私はこの件に関し、彼が悪いとは思わないんだな。悪いって言うかかわいそうだなっていう。彼はいままでそうした方法でしか要求してこなかったんだろうし、またそういう方法しか教えられてきてないのだろうし。かわいそうだからと甘やかす場合は今も多いかもしれない。幼い頃のヘレン・ケラーのようにね。
もう少し社会がきっちり問題に取り組まないと字面追うだけで体裁整えて終了って事態になりそうだなあ…。
by 瑠璃子 (2005-08-26 22:38) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。