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MASTERキートンが絶版になったワケ(文春記事は藪の中風味) [小ネタニュース(時事ニュース)]

http://www.narinari.com/Nd/2005054455.html
↑詳細はコチラ。どうやら美味しんぼ原作者である雁屋哲の横ヤリが原因らしいですね。ともかく今はこれについての記事が掲載されている週刊文春(5/26号)を買いにいってきます。(5/22 01:37記す)


週刊文春買ってきました。

「超人気マンガ『マスターキートン』突如消えた不可解な理由」と題してあり、2Pを割いてある。アニメにはなったけれど、浦沢氏の他「MONSTER」や「YAWARA!」からすると若干地味で通受けするタイプだと思っていたので、この扱いはちょっと驚いた。

で、その内容。

業界関係者の話として「1500万部という大ヒット作であるMASTERキートンが書店の店頭から消え、版元の小学館も『在庫なし』を理由に書店からの発注を受け付けておらず、事実上の絶版となっている」とその現状を語っている。
なぜそんな事態になってしまったのか、を原作者である勝鹿北星(本名菅伸吉。ラディック鯨井、きむらはじめなど複数のPNをもつ。代表作はラディック鯨井名義で「SEED」「マジンダラ」、きむらはじめ名義で「青拳狼」「なんか妖かい?」)氏の友人、作画の浦沢直樹氏、担当編集者だった長崎尚志氏(小学館を退社し現在は浦沢氏のブレーン兼プロデューサーらしい。東周斎雅楽というPNで「イリヤッド入矢堂見聞録」の原作を担当しているようだ。もちろん手塚治虫文化賞を受賞した「PLUTO」にも名を連ねている)、そしてありがちな事情通という業界関係者の、それぞれのコメントを掲載している。以下その要約。※コメントの()内は筆者注釈


・勝鹿北星(菅伸吉)氏の友人の話
「浦沢氏と長崎氏の間に著作権を巡るトラブルがありそれが原因で絶版になったと聞いている。ただ本人が既に昨年12月癌で亡くなっているため事実関係が確認できない。連載終了後ラディック鯨井のPNで執筆していたが事あるごとに“長崎氏が自分を必要としなくなった”と語り、事実関係はどうであれ菅氏は締め出されたと思っていたようだ。葬式にも小学館関係者はこなかった。」

・浦沢直樹氏の話 
「当時“YAWARA!”を並行して連載してた為(小学館の)編集部の判断で原作者をつけた。だが現実には自分と担当編集者だった長崎氏で主に話を作っていた。そういう状態が何年も続き、印税の部分でも納得は出来ないでいた。あるとき菅氏が原作から降りるといいだしたことが発端となり、会社との関係がこじれたので、五年ほど前に自ら出版停止を願い出た。エンディングも自分で考えた。」

・長崎尚志氏の話
「自分が担当した前半、菅氏は原作を仕上げたことがなかった。全部自分と浦沢氏で書いていた。自分が担当からはずれたことにより、その辺の事情を浦沢氏が知ってしまった」

・業界関係者
「菅氏が原稿を書いてないのは周知だった。耐えかねた浦沢氏が“作家としてクレジットが載るのはどうか”と小さく表示するよう小学館に申し入れた。印税比率の話も出、結局比率は今まで通りということにして、増刷するものについては原作者の名前を小さくすることで折り合いをつけた。(※ この点については後述。)問題は解決したはずだったが、そこへ“美味しんぼ”の原作者である雁屋哲氏が現れた。雁屋氏と菅氏は共にゴルゴ13の原作を書いていた盟友。雁屋氏は小学館に“名前を小さくすることは許さない”と強く抗議した。ヒットメーカーである雁屋氏の手前増刷に踏み切れない」

 

上記はだいたいの要約である。しかしまさに“藪の中”で、おそらくこの中の中間地点あたりに真相があるような気がする。浦沢氏はコメントの中で『(印税比率が5:5だったのは)これも修行の一つだなと思っていました』と語るあたり、菅氏に対して現在も納得してない様子がうかがえる。登場人物のうち4人までも「菅氏は原作を書いてなかった」と語っているので、おそらくこれは真実であると思うが(小学館の意向で書かされているのかもしれないけれど)、編集サイドとしても迎え入れた原作者が仕事をしないからといってホイホイきることができない「なにか」があったのかもしれない。その「なにか」が雁屋氏とつながりがあるのかそれはわからないけれど。出版事情に疎いんでどうもこういうつっこんだ話になるとうかがい知れない部分が多々ある。
後述とした「原作者の名前を小さく」という部分についてだが、コメントでは増刷分から小さくするというように記載されている。しかし私のもっている31刷の段階では、背表紙:同じ大きさだし、表表紙にいたっては浦沢氏よりも菅氏=勝鹿北星氏の方がかえって文字が大きいぐらいだ。どのあたりから適用だったのか、適用される約束が履行されるのが今だからこそ、停止となっているのだろうか。摩訶不思議である。もうひとつよくわからないのは、浦沢氏の発言で唐突に出てくる「エンディングも」云々という箇所。これは本記事でもコメント最後がこの言葉で締められている。作品の終盤あたりにこうした印税やクレジットにおける問題点が噴出したことをにおわせているのだろうか。確かにあのエンディング、最終回は、後の「MONSTER」に連なるような東欧もので、今読み返すと若干の既視感を感じるほどだ。浦沢氏が強調したかったのは、“自分が作り上げた作品”ということなのだろう。

どちらにしろ、おいてけぼりを食らっているのは、彼らが印税を得ているハズの購買者である読者だ。読者不在のかなしさを覚える。復刊運動が盛んになり、もう一度キートンの顔が書店で拝めるようになればよいのだが。私も人に貸してそのままになってしまい欠けている巻がいくつかある。オークションでむざむざ高いものを買うのもどうかと思うし。このままだと全巻セットで法外な値をつける輩もでるかもしれぬ。なんだかなあ。

復刊運動が行われているようです。http://triplebridge.hp.infoseek.co.jp/fukkan.html趣旨に賛同頂ける方はどうかお願い致します。


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コメント 16

復刻ドットコムにて投票してきました。
ショックを受けていたところなので少しこれで落ち着きました。
超ありがとうございます!!
by (2005-05-22 06:08) 

きりきりととと

MASTERキートンは自分も好きだったので週刊文春を読んでみましたけど、リファラーに書いてある以上の情報は載っていなかったみたい。後ろのグラビアで三島由紀夫のお小遣い帳というのが面白かったw
by きりきりととと (2005-05-22 12:24) 

瑠璃子

>スナフ氏
なんだかかなりきな臭い感じっすね。つか実はまだ文春買いに行ってないんですよ。これから逝ってきます。続報はコチラにのせますわ。

>伊織氏
お、買われたんですね。なるほど…。とりあえず三島由紀夫のお小遣い帳目当てに買ってきますわw
by 瑠璃子 (2005-05-22 17:29) 

FD3S

瑠璃子さん、こんばんは。
こんなことなら、文春買えばよかった。
ネタのために、「週刊金曜日」を買いに行ったのですが、やはりドキドキして
週刊新潮と一緒に買ってしまいました。
む~、文春と新潮でサンドイッチすればよかったか。
マスターキートンは大学時代に読んでいたような気がします(かなり前なので不確かですが)。美味しんぼも読んでましたから、この辺の名前には青春のにほいがしますね。
東西新聞は朝日で、帝国新聞(帝京?)は読売を想定したものだという話を聞いて「へぇ~」と思った記憶が引き出しの奥から出てきました。
by FD3S (2005-05-23 01:24) 

『MASTERキートン』って、
お名前しか聞いたことないけど、
出版業界ってこんなのがあるんだってちょっとビツクシっ!
何だか激しく違和感です。
by (2005-05-23 03:27) 

瑠璃子

>FD3S氏
ネタのために…その意思を継いでアタシゃ本日の雑談でも買おうかしら。アレはかなりアレな代物らしいですからねえ。
>東西新聞は朝日で、帝国新聞(帝京?)は読売を想定したものだという話を聞いて
うわさでは山岡のモデルが菅氏(=勝鹿氏)らしいですね。相当仲良かったのかな。美味しんぼもちょっとおかしくなってきたというか偉大なるマンネリを超えたところに位置してますな。続けることに意味があると。でもオーストラリアに住んでる人に「日本はダメだ」とかって言われるの、大橋巨泉と一緒でかなり私的には納得できないんですけどどうでしょうか。
by 瑠璃子 (2005-05-23 16:05) 

瑠璃子

>ひかりこ氏
双方とも、コチラ(読者)側を向いてない気がします。なんだかなあ。読んでもらっている意識なんて、もうないのかな。読ませてやってるぐらいの勢いなのかしら。
by 瑠璃子 (2005-05-23 16:07) 

kiyo

おそらくこういった大人の(ww)事情って日常茶飯事なんでしょうね。所詮はマスメディアの1つか。。。印税が、お金が絡むと泥臭くなりますね。あー、やだやだ。
真実がどこらへんにあるのかは分かりませんが、少なくとも雄山と士郎の親子喧嘩よりはよっぽどリアルな話なんでしょうね。
by kiyo (2005-05-23 21:32) 

セック鈴木

なんと!あの名作がいつの間にか読めなくなっていたとは驚きです。

クリエイターの人は大人でない部分が素晴らしい作品を生む一つの要素なのではないかと思うので、ここは出版社の人なり大人な第三者の見事な調整を期待したいところですね。
by セック鈴木 (2005-05-23 21:50) 

瑠璃子

>kiyo氏
そうなのよ。泥臭くてきな臭くて…。愛読者なんてムシなんだろうなあ…。こんないやな話こそファンタジーにしてくれとおもつた。やだねえ。

>セック鈴木氏
アタシも驚きましたわ。とにかく間に入った人間の政治力に期待したいです。まあ三十六計なんとやらでそんな火の中へ栗拾いに出かける奇特なヤツいないのかもしれんけど。このまま放置にしてマンキツか馬鹿高いオークションでしか拝めなくなるなんていやですたい。
by 瑠璃子 (2005-05-23 23:50) 

MyCometG3

読めば読むほど、印税吸い上げシステムというか、
裏相互互助会みたいな馴れ合いというか、
表に出せないネタがあることがスイソクされますね...

あるいは原作者ってそういうもん、と疑ってかかるべきかも。
by MyCometG3 (2005-05-25 08:13) 

瑠璃子

>MyCometG3氏
あの原作者ってかなり儲かるらしいですね。下手な小説よりもずっと。そうとうにキナ臭い背景があるのでしょうねきっと。一端を垣間見た気がします。
by 瑠璃子 (2005-05-25 09:30) 

koza

はじめまして。
ボクも「キートン」絶版にびっくりしました。
自分のブログでもキートンのこと書いてみました。
ほとんど又聞き。
(勝鹿氏の最期の方の連載を担当した人の意見も少々)
by koza (2005-05-26 22:41) 

瑠璃子

>こざきさま
はじめまして。ようこそお越しくださいました。
中々興味深い意見がありますね。ふむふむ。TB送りましたのでよろしくです。
by 瑠璃子 (2005-05-27 10:51) 

TBさせていただきました。
TBで全文を引用するのは自分としては変な感じがするので
こちらのエントリへのリンクとさせていただいています。

あーそれにしても納得できない。
関係ないひとが絶版の原因をつくってるなんて。。。
by (2005-05-27 21:23) 

瑠璃子

>晴太氏
ありがとうございます。そうなの。報道が真実だとしたらすごいことだと思うなあ。こういう横やりを許しちゃう会社って言うのもあれですね。具体的にどんな感じかというと、こざき氏のところに詳しく書いてあったりするのでし。ううむ。読者はどこにいるのか…
by 瑠璃子 (2005-05-28 17:53) 

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