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ベッドの上の見知らぬアナタ [みちゃイヤン☆(エロ濃厚)]

 あなたはいつも、私に優しい。

 手を握るときは、大丈夫?つらくない?と気遣ってくれ、必ず歩くときは道路側に、髪がはさまっているよと鞄を持ち上げてくれる。私の体調に気を配り、危ないからこっちへおいでと手を引いていつも歩く。

 そういうあなたがなぜあの場でああなるのか、私は酷く不思議なのだ。

「あしひらいて」

 彼は私を見下ろして低く告げる。私はベッドの上で体を開き、そこを指で広げる。彼がじっと見ているのがわかる。じくじくと潤み始める。みながら、してるからね、してほしいんだよね? 彼の息遣いと私の吐息が重なっていく。ほのぐらい部屋の中で、湿度がじょじょに。肌が汗ばむ。それ以上に冷たい感触が足の間に広がる。まだ、自分ではいじらないでね。

 彼の口調はいつもと変わらず、穏やかで丁寧だ。滑らかな声を聞いていると、私はコーンシロップでコーティングされていくように思える。そういう形での支配もあるのだ、と高まる体温で茫漠とし始めながらうっすら考える。もう、入れちゃうね、と彼はぴったりと押し当て、ねじこむように侵入する。前にアレコレすることなく、差し込まれると道具のように使われている気すらする。内部を押し広げるそれがゆっくりと心地よいところをこすりあげる。知ってからあまり日にちが経ってないのに、と靄がかかった頭で思う。奥に突き入れられ、カラダごと揺す振られる。これが、私はイチバン好きだ。あふれていく。彼の足も濡らしているだろう。自分で弄ってイって。耳元に吹き込まれる声をどこか別の場所で聞きながら、人差し指でそこに触れる。硬くとがってぬるついているのはきっと彼も見ていることだろう。イクまでいかないよ。彼は微笑んでいる。やがて迎える終局のため、私は指を動かす。イッたら、熱いのをいっぱいあげるからね。足の中を暖かな痺れがはしる。締め付けているね。彼のが膨れているのか、私が求めているのか。どちらがどうなのかよくわからなくなって。
 
 彼が引き抜く。まだだしたくなくなっちゃった。上にきて、と体をひきおこされる。定まらない腰をふらつかせて、私は彼の上に跨る。握れきれない彼の重みを感じながら、あて、背中をのけぞらせて受け入れる。おおきい。私がため息を漏らすと彼は低く笑った。いまも気持ちよいけど、と彼は腰をつかむ。繊細で艶やかで骨筋ばった大きな、絵描きの手。こうして、と言葉を切ったところで突き上げる。子宮口を抉られるようだ。こうすると、と腰を回す。すごく俺、気持ちいい。ああ私はただ崩れ落ちる瞬間を待つだけ。中に出すよ、と彼は荒い息の下から踊る私を見つめて。だしたら中のを吸い出してあげる。飲みたいでしょ?無邪気に笑って。飲ませてあげるからね。脈打っている。私は倒れ彼の唇を欲しがってひくつくのだ。

 この間、君の夢を見た、と彼は少し言葉を区切って話し始めた。
「どう考えればいいのか、よくわからない。気を悪くしないで欲しい。」
「夢の中で、君は四肢を切断されていた。でも生きているんだ。団地の階段を君はきょろきょろしながら芋虫のように這い登っていく。僕を探しているのはすぐにわかった。でも」
 と彼はいったんとめて唇を舐めた。ちらと私を見て、また続ける。
「でも僕は、君に見つからないように、息を潜めて、壁に隠れているんだ。その場から動けなかった。なにか君がいっている。僕は動けない。這いずる音がする。僕はその後姿をただ見ているだけだ。あれほど、怖い夢はなかった。」
 多分、君を見捨てる自分がとても嫌なんだな、と彼は話をやめた。私たちは無言で天井を見つめていた。私は彼を見た。彼の横顔は他人というにはあまりにも無防備だった。大丈夫? 彼の横目が一瞬鈍くひかった。
 ベッドの上のアナタを、私は知らない。私は知らないアナタと毎回寝て、見知らぬアナタを体に刻む。知りながら、知らないような顔をして。


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