甘い誘惑(聞いてはいけない) [ごきげんいかがワン・ツゥ・スリー(日記)]
誰しも精神的にある種の分水嶺を認めてしまわざるを得なくなったとき、聞いてはいけない曲、というのが有ると思う。有名なところで言えば、たとえば「暗い日曜日」などがあげられるだろう。私にとっての「それ」は「スワロウテイル」という映画のサントラであるYen Town Bandの「My Way」だ。
この曲は出演者でもあった歌手のCharaが映画内で結成するバンドととして歌っているのだが、囁くように「自分は好きなようにやってきたのだから悔いはない」とつぶやかれると、なんというか、死というものがドアを開けたらすぐそこにあるような、身軽にまたいでいけてしまえるような、そういう存在のように思えてくる。彼女の吐息の中に、死が甘く囁きかけるような、その流れに身を任せてたゆとい続けていきたくなるような誘惑を覚え、つい己をゆだねてしまいたくなる。そしてそれが悪いことであるとはどうしても思えないほど、蠱惑的であらがいがたい魅力に満ちている。闇の向こうから天使のような娼婦が微笑みながら呼びかけているように。極上の腹上死が待ち受けているかの如く。
外の天気の明るさよりも、この曲の不吉さへ埋もれているほうが心地よく感じてしまう私は、いったいどこへ行くのだろうか。
やばい。結果的にジャニスになったりしないだろうな。
頑張って踏みとどまれよ。
by ken (2006-11-09 01:05)
TBありがとう…。
どうにかこうにか生きてます。踏みとどまる。私には「いまここ」しかないのだから。本当にありがとう。
by 瑠璃子 (2006-11-22 11:04)