SSブログ

「宇宙戦争」誰かスピルバーグに面白いジョークを教えてやれ [映画レビュー※ネタバレ注意]

宇宙戦争

宇宙戦争

  • 出版社/メーカー: パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
  • 発売日: 2005/11/09
  • メディア: DVD
みなさま、もう松の内過ぎてお正月飾りを飾っているお宅へソロソロ“片付けられないオウチ”とのレッテルが貼られかける今日この頃ですがあえて挑戦。あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

さて正月休み、暇だったのでDVD鑑賞と読書に励んでおりました。その中で、色んな意味でオススメの映画をピックアップしてテケトウにご紹介。しばしお付き合いくださいませ。

去年の話題作「宇宙戦争」。スピルバーグはいいときと悪いときの差が激しい。まあそれだけ天才ってことなんだろうけど。でこの映画。こっちはダメなほう。なぜかトム・クルーズと組むとダメ映画になる確率が高いような気がする。マイノリティリポートとか。パニック映画にかけては凄腕のスピルバーグがどうSFという題材をそのカテゴリーにおいて処理するか、というのが目玉なんだけれども…。基本的に生真面目な人なんだろうな。パニック映画につき物の人間ドラマは丁寧に描かなきゃ、科学考証はきっちりしないとデバンカーがうるさい、CGに金かけないとリメイクした意味ねえしなあ、トムの活躍シーンいれないと“駄作なのはスピルバーグが人格テストを受けないからだ”といわれかねないし、などなど、といったいわゆる大人の事情が入り乱れてしっちゃかめっちゃか渾沌未分となって転がり破綻し反転し。まあとにかく肩の力が入りすぎというか、開かない瓶のふたを力いっぱいひねりすぎて壊しちゃったよ的な感じといえば近いかもしれない。
 
とりあえず話の内容といえば、
港湾労働者として働くトム・クルーズは今日が離婚した妻に引き取られた子供たちとの面会日だった。離れていた子供たちは自分になつかず、反発するばかり。手を焼いているとテレビでは地球上のあちこち(ちゃんとテレビ朝日映りマス)で発生している不可思議な磁気嵐の模様が報道されていた。やがてそれはトムのいる街にも起こり、雷が落ちたところは不気味に盛り上がり、なんと地中から金属の固まりが浮かび上がる。それらは意志を持ち、光線で人々を殺しはじめる。なんだかよくわからないながらも逃げるトム。今回の事件を取材していたテレビクルーと遭遇した彼は、実はそれが遠くはるかな昔に地球へ埋め込まれた火星人の侵略用殺戮兵器トライポッドであることを知る。次々に殺されている街の人々。トムは子供たち二人を連れて別れた妻のいるボストンへとむかう…。
 
とにかくね、アナタ。あの昼の帝王トム・クルーズがいきなり港湾労働者。見事ホワイトトラッシュへ転進、といいたいところだが、マーク・ウォルバーグならまだしも、トムですよトム。常にヒーローを追及し続けた彼では、どうにも似合わない設定。コチラとしてはいつ労働者とは世を忍ぶ仮の姿…と戦闘服に着替えて砂漠でひそかに研究が進んでいた破壊光線オキシジェンデストロイヤーを携えて登場するかとワクワクしながら先走り汁でテカっておりましたが残念なことに似合わない役のまま話が進行していく。またリアルな人間関係を、ということなのだろうか、子供たちがまったくかわいくない。しかしねえ、もともとSFパニック映画、火星人襲来なんて、ねえ。グレイならまだ可能性がありや?とも思わせるわけですが、21世紀アトム生誕が過ぎてしまった2006年ともなれば、そんなところでリアリティを追求されても、と戸惑うばかり。しかもその展開たるや、一昔も二昔も前に流行ったニューシネマもどきともなれば、作品の質もおのずとお里が知れようというもの。普通の人が緊急事態に陥った場合どんな風になるのか、なんて地味な主題を特にひねりもなくそのまんま取り入れて話をススめるから、いろんな人が思わせぶりに登場してはあっけなくサヨナラし、しかもその後特に内容へ絡んでくるわけでもなく、意味がよくわからず見ている側はひたすら混乱するばかりだ。ティム・ロビンスなんて何のためにでてきたの?よっぽど彼の方が「らしかった」のが痛すぎた。ティムが「ミュンヘン」にでてたらどうしましょう。大阪じゃ倒したらしいしな。そんなわけでスターウォーズエピソード3が悔しかったのか、はたまた「ミュンヘン」に金が必要だったのか、真実は神のみぞ知るが、結局呆然と劇場を後にするのは観客である我々なのであります(嘘です。DVDでみましたスンマセン)。
 
パニック映画の常套手段といえるO・Jシンプソンの法則がここでも発動し、行き別れになったはずの登場人物が(どう見ても死んでるとしか思えん)ラスト近くでひょっこり姿現したりして、やはり法則通りどう見てもそっちついてった方が絶対助かるのでした。本当にありがとうございました。(O・Jの法則については拙レビュー「タワーリングインフェルノhttp://blog.so-net.ne.jp/pussycat/2005-10-24」参照のこと)

ワタシが見たのはレンタルビデオでご丁寧にリメイク元となった宇宙戦争(SFパニックならこの人、ジョージ・パル製作)のDVD二枚組セットとなっていて両方見比べることができたわけだが、正直パル製作のほうが見ごたえがある。確かにかなりチープで宇宙船は釣り糸見えまくりだったりするわけだが、それでもきちんと人間関係が織り込まれておりコンパクトにまとまっているので終わりのあっけなさを含めて費用対効果としては文句はない。ま、こんなもんだろ、と納得できる。
 
だがリメイク版スピルバーグバージョンはどうだ。つまんねえニューシネマもどきの人間関係がぐだぐだと続き、爽快感もなく、ぎゃーぎゃー騒ぐだけの子役に感情移入もできず、最後の結末だけファンタジーってどうよ。重要な部分(金のかかりそうな部分もしくは面倒な部分)はさらっとナレーションですますっていうのも「昔ならアリかな」と鷹揚な気持ちにもなれるがしかし!50年前の映画とそこが一緒でどうするスピルバーグ。まあミュンヘン(しつこいな)のほうに気持ちがいっていたのはよくわかるけど。極論を言えばパニック映画、とくにSFがらみとなると細部のディテールに凝るべきで、人間関係なんぞご都合主義でよいのではなかろうか。とにかく観客がみたいのは(ありていにいえば)無惨に殺されていく人々の姿であり、自然・災害・宇宙人にはかなわねえっていうカタストロフである。要するに見せ物(それが行き過ぎで爆笑の珍作となっても映画秘宝で骨を拾ってくれるだろうから無問題、だと思う)。人間に凝るならCGに凝るなCGに凝るなら人間に凝るな。基本的にはイイとこどりはできないのよ。
 
結論、見るならDVD推奨。そして最初にパル作品をみてから、がオススメ。時は金なりっていうけれども、たまには無駄遣いしてむなしさにひたるのも悪くはないでっせ。トモダチと突っ込みいれながら見るべき、ではありますけれども。

なにはともあれ日本はゴジラの国だから大丈夫HAHAHA!!というスピルバーグの陽気なアメリカンジョークを堪能しませう。あははははははははは。

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。