「復讐者に憐れみを」の簡易感想 [映画レビュー※ネタバレ注意]
とりあえず追記するかもしれないけど備忘録的に残しておく。
監督はオールドボーイのひと。復讐三部作の第一作目。まず感じるのは、構図が非常によい、ということ。画作りが上手い。私はオールドボーイみたときに、そのあまりに見事な、心地よいところで切り替わる編集に「日本映画オワタ」と思ったけれど、この作品では画作りで思いました。ワンカットでワンシーンで主人公が働く工場風景をおさえたりするシーンは誰かににてるけど思い出せない。思い出せないってことはオリジナルをうまく消化しているわけで、あんまり最近の駄目日本映画(亡国とかあのへんの)をみていると未消化のまま、ありていにいうとパクリだろそれと露骨に無自覚にもってきちゃうあたりに病巣の深さを感じたりするけれども、パク・チャヌク監督はちゃんとやってます。(たとえば写真家あがりの映画監督にありがちなんだけれどもワンカットごとはきれいなんだけど、それがつながらないってやつ。この作品はそういうことはない。つながりが実にスムーズ。また同じようなシーンが出てきてもちょとずつ細部を変えていたりしている)話の内容にはあえて触れません。できればみてほしいから。(後述するがかなり人を選ぶ作品だとは思うけれども。)罪が生まれる。復讐をする。その結果残されるものはなにか。そして逆説的に浮かびあがる「復讐」それ自体の意味。作品は特に声高に何かを主張する訳ではない。出来事をあるがままにうつしだす。実に淡々と。それをどう解釈するかはこちらにまかされている。だからこそ、のちのち体の底に残り続ける。(オールドボーイも未見なので断言はできないけど親切なクムジャさんも基本的には「復讐、そのこと自体の意味」を考える点では一貫して通底したテーマなんじゃないかと思った)これでもかの血糊で正直ちとつらいところもあるけれど、そうでもなくても胃の腑にぐっとくる場面が多い。なんとなくギリシャ悲劇を連想。血で血を贖うなんてつきなみなことを考えていました。最後のシーンで復讐者であった父親の手に聖痕がでたりするなど、反転されて殉教者になるところとか、おしまいまで手を抜かない作りである。音楽がフリージャズっぽいのもまたよい。(フリー好きなんだよね)総評としてはかなり面白い。より物語性を追求してテンポアップしたオールドボーイは万人向けとするならば、こちらは、しつこく考えるのが好きな人に向いているように思う。面白いけど、面白いと素直にいっていいかどうか迷う。しばらくは考え続けるだろう。重め。
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