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で、これまた超イマサラですが「mishima」が激面白いんですよ。 [映画レビュー※ネタバレ注意]

途中まで見たけどこれは割りと傑作。音楽と編集がすばらしいのだが(ルーカスの奥さんが編集やってんのかと思ったけどマイケル・チャンドラーで「アマデウス」の人だ)脚本もすばらしい。この物語は三島の小説「金閣寺」「鏡子の家」(の収編)「奔馬」の三作品を横軸にあの11/25の三島の行動と回想を縦軸で展開するという多重構造である。小説を映画化しているところは徹底的に舞台セットを用いてその虚構性をこれでもかと叩きつけるし、三島の行動については過去の回想を白黒にしたりとわかりやすく工夫している。
脳内の高揚を誘う音楽とともに緒形「三島」はほとんど口を一文字に結んで躍動する。三島と緒形拳じゃそもそもの顔の作りからして全然違うのだが、これが不思議と「三島」に見える。特にボディビルをはじめて以降はなにかが降りたかのように「見えないのに見える」のだ。

「金閣寺」については大映で映像化した際雷蔵にやらせたけれども、見た目がよく似ている坂東三津五郎(当時は八十助)が犯人役を演じている。これがまた巧い。力む奇形的な動きをよく表現しているのだが滑稽ではない。犯人の「友達」である足の悪い男役を佐藤浩市がやっていて、悪の魅力、コンプレックスを逆手に取り一種のトリックスターとなるあたりなどをぞくぞくするようなしぶとさでたまらない。ここでの「金閣」はミニチュアの金ぴかである。舞台装置のようなミニマルさがかえって「俗っぽさ」を表現している。琳派のような背景の中、主人公の前に絢爛たるミニチュア偽金閣がごうと迫りぱっくりと開くあたりの美しさは比類ない。短いが「金閣寺」という小説を映像化したものの中では最も優れているのではないだろうか。美術ともに。


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サンフランシスコ人

6/3 『ミシマ:ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ』をサンフランシスコの近くで上映します...

http://www.bampfa.berkeley.edu/event/mishima-life-four-chapters
by サンフランシスコ人 (2017-05-21 02:44) 

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