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天翔る柳美里センセ「自分大好き強化月間」 [小ネタニュース(時事ニュース)]

柳美里の作品はどうにも好きになれない。

それは作品の中へ抑えきれない自我がいざあふれんとこちらに迫ってくるような、パセティックとも違う、妙な居直りが感じられるような気がするからだ。そしてその傾向は近年とみに強くなっているように思える。

それにしても本の表紙でフルヌードかよ。書店で平積みされていれば否応なく目に入るわけでこれは一種の暴力だな。作家ヌードといえば悪名高い「田中康夫」と「林真理子」(セミだけど)の両巨頭が君臨しているわけだが、ここにもう一人乱入で、三すくみですか。イヤハヤ勘弁してくださいよ。こういう場合、自分の裸が見るべき価値があるものかどうかという客観性がまずくるべきだと思うのだが、それよりも「己の生きた証として見せたい」等々の「自分の人生その他は見せるべき価値のあるものだ」というような妙な肯定が先に来るらしい。見たくないと思う人間がいることを想定してないのだろうか。その点まだ内田春菊のほうがいいように思える。確か彼女も著作の中でヌードを披露していたが、それは表紙ではなくて中を開いてはじめてわかるものだった。なんというか、柳美里の自己顕示欲肯定力には恐れ入るが、それだけ不安定なのかもしれない。絶えず自我を発露し、人前に己をさらし、世上の認知を得ていないと自己肯定感が生まれないのだろうか。まったくそれにつき合わされなきゃいけない義理なんてこっちにはねえよ、と意地悪な目つきをしてしまう。しかも純文学として昇華しているのならまだしも、単なるお前のつらい人生とやらの垂れ流しには、興味のない人間からみりゃどうでもいい話なんです。しかも今回は垂れ流しにヌードまでつけてくれるなんざ有難いことこの上ない。とうちゃん嬉しくって涙でてくらあ。そんなに「素の自分」だの「ありのままの私を見せたい」だのとゴタクを抜かすなら、その辺の道端ですっぽんぽんになってマタグラご開帳してりゃいいじゃねえか。

「石に泳ぐ魚」裁判でもそうだったけれども、芸術至上主義は結構だが(女太宰?笑わせるな)自己の認識をそのまま他にも当てはめるというのはどういう神経しているんだろうね。この自分が望むこと思うことを提供することはその他大勢他人よそ様も望んでいるに違いないと思える臆面のなさ、自己の価値観をイッパンタイシュウへも広大無辺に適用し、一般化可能だと思っているそのあたりが傲岸不遜だなとおれっちなんかは思ってしまうわけです。まあそれがゲージュツ家というのなら、おめでとうございますとしか言いようがないのですけれども。

あんたの裸に値打ちを見出すのは、あんたの男(も嫌かもしれないけど)とあんただけ。見せる「意味」の前に「価値」があるのかよく考えろとは言いたいが、おゲージツ活動の一環ならば仕方がないとムチモーマイな大衆の一人としてはため息をつくしかないのかも。


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aya

こんにちは。以前もちょこっとコメントさせて頂いていたのですが、6月に出産してなかなか訪問できずにいました。
最近、ようやくゆとりが出て久しぶりに瑠璃子さんの文を読んで「一種の暴力」ってところに思わず、噴き出しました。赤子を抱えているので本屋ももろくに行けず、そんな目に合わずにも済みますが、想像するだに恐ろしいです。

コールセンターのオワダさんの話もしみじみしました。
瑠璃子さんの文章はやっぱりいいなぁと思いました。
また隙を見て、読ませてもらいますね。
by aya (2007-11-30 12:20) 

瑠璃子

コメントありがとうございます。
ご出産おめでとうございます。母子ともにご健勝でしょうか。先日出産した知人が生死をさまよう事態となり、改めて大事業なんだな、と実感しました。
今日発売だったと思うんですがちと本屋に行く用事ができてしまい、平積みで見せつけられる羽目になるのか…と軽く鬱ですw
あまり更新してませんが少し余裕が出てきたので真面目に頑張ろうと思ってます。こちらには糾弾系ではなく、「ラーメンと性豪」のような記事や映画レビューをupしていきたいです。またお越しくださいお待ちしてます。
by 瑠璃子 (2007-11-30 12:51) 

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