SSブログ

ベイビィ・ラヴ・チャイルド [みちゃイヤン☆(エロ濃厚)]

軽いいびきをかいて彼が寝ている。

私はそれをソファに座って眺めている。明かりを落として暗くした部屋は奇妙に居心地が良い。起こさないようそっと離れたつもりだが、いつの間にか寝息が途絶え、ふとみれば、薄目を開けた彼がこちらをみている。指がかすかに動き、呼ばれたことを知る。

傍らにいけば黙って腕を回され、そこが私の場所であることを教えてくれる。こうした雰囲気が漂うようになるまでにかかった時間を私は考えていた。フラナリー・オコナーを読むといいよ、と彼は言う。「君の書いていることにかなり近いというか、ある種の到達点といえるからね」
「村上龍と村上春樹をくらべたとき、春樹の方がやっぱりうまいんだな。村上龍もうまいけれども、春樹に比べたらうまいとは言いがたい。中上健次もそうだけど、鮮烈なシーンを書き連ねる作家よりも、神経の行き届いた短篇作家の方がうまいといわれる」
そんな話をしながらも、彼の体温は既に高く、それは先週から患っている風邪のせいではないことはわかっている。そこに触れる。硬く熱い。

ゆっくり手を動かしながら、最近読んだ本と映画について語りあう。ため息が彼の口から少しずつ漏れ始める。身体を気遣いながらも、手の動きをとめることはできない。「続けて」と彼がつぶやく。下着からとりだすと、濡れてひかっている。見るだけならいいよ、と命じられ、私は鼻を鳴らして顔を近づける。我慢できなくて舌を使えば、たちまち叱責だ。

映画を見る予定だったのに。気がつけばもう終わっていた。贅沢に使って我々は単なる怠惰な子供たちとなる。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。