元旦から悲惨な人。：WHAT'S NEW PUSSYCAT!?：SSブログ

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元旦から悲惨な人。　[ごきげんいかがワン・ツゥ・スリー（日記）] [編集]

なんつーか平穏無事な正月でありたいのよね、と思いつつ。毎年毎年なにかある。で、今年もやっぱり法則発動。

元旦は鯛を食べる。これは昔からのウチの決まりで、以前は一人一尾だったりしたのだが不景気が続きようやく脱出した後もなんとなくまとめてデカイの二尾注文して少しずつ食べるようになった。家族もそんなにがっつり喰う年でもないし、そういうわけで少子高齢化のモデルケースみたいな家庭だったりする。

近くの魚屋で注文した鯛は、今年妙にしょっからい。一口二口でやめてしまう。祝い酒を少々口にしてすっかり酔っぱらった私は、そのまま寝て、起きたら誰もいなかった。ババアになれば放置推奨。男でも作ってくれ、というのが親の本音だったりするんじゃなかろうか。

目が覚めて、ひとり。ではあったけれども腹が何となく空いた。よっしゃとばかりにゆで卵を作り、細かく刻んでいつか松江で食べた鯛めしを、昔をしのんで食べてみたくなったりして。鯛の身を丁寧にほぐす。白身はざっと刻み、黄身は三温糖を少々加え、ほか小ネギを刻んで上にのせる。出汁をかければなんとなくあのときのあの味、そんな感じになるのだ。

一口すすり、しょっからかった鯛の身から十分に味がでて、なにも味付けしなくても大丈夫なほど。うまいうまいとかっこんでいれば、喉に、なにかの異変アリ。

知らないﾌﾘして食べすすめれば、大ビンゴ。まさにキターってヤツで見事のど元へ鯛の骨がぶっすりささる。七転八倒の苦しみだけれども。病院はやっていない。

以後二日ほどアゴを動かせば骨も動いて痛みがぶり返し、何かを食べる気力も沸かず。ご飯を丸飲みしてもなにしてもまったくとれる気配なし。Ｇｏｏｇｌｅ様のお力にすがるが、hitするのは「食道に穴が開く」だの不吉なお言葉ばかりなり。４日の業務再開まで必死に耐える。噎せながら、泣きながら。嗚呼憎むべきは食欲。

1/4、這々の体で病院へたどり着くと、割と早く診察の順番がくる。神さまも見捨ててはいないのね、と無神論者のくせに都合よく。医者はのんきに「どうしたんですか？また扁桃腺腫らしましたか？」と尋ねてくるが、「いえ、鯛の骨を…」と口にしたとたん、診察室内に緊迫した空気が流れる。医者も腰を浮かせ、そ、そうですか…そりゃ急がねば、と口も鼻の穴も開いて内視鏡をつっこまれる。うわー見事に入ってますね、ささってますよーでもこれじゃとれないなー内視鏡でとりましょう、と明るい口調の医者に比べ、こっちは絶望のズンドコ（って死語だなｶﾅｼｲ）になる。処置室にある無機質な椅子に頭を埋め、ここは地獄の三丁目、なるようになれ、と看護師さんに片目をつぶる。大丈夫ですよ、とのほほえみで少し気が楽になる。

ああそれじゃなくてもっと違う太いのを、なんて戯れ言をいう間もなく、ぶっさりと鼻の奥へつっこまれ、ぐりぐりと侵入。見せ物小屋のおねえさんは鎖を入れていたから大丈夫だろうと、噎せる喉をねじ伏せる。数分の苦闘の末、ようやく取り出されたのを見てみれば。かなりデカイ。５㎝はあるような釣り針形状の骨である。

喰われるまでにこんな思いを味わったのかそうなのね、と何の因果か鯛の報い。まあよかったね、と医者がつぶやく。死に至ることもあるからバカにしちゃイケナイよ。今更ソンなこと言われても。骨は渡せないなー記念にいただきます、と嬉しそうなお医者の声を後に、3000ナンボか支払って病院を出る。さてでは、と改めて初詣にいくが、ひいた籤はこういうもの。