心のかけら [音楽レビュー]
精神的にも肉体的にもぐちゃぐちゃとした絡み合った洗濯物状態となってくると、同じようにがんじがらめな人の歌が聞きたくなる。そうしてがんじがらめを絶叫する歌となると、この人しか思いつかない。ジャニス・ジョップリン。
本人の実行動とはかなりずれているという話もあるけれども(ローディにSEX強要したり記者会見で同性の恋人の乳を撫で回したりとか。ガハハオヤジ系だなあ)彼女が歌う主人公たちはみなどうにもならなさを抱え、ロクでもない男を愛し、裏切られ、それでもソイツが戻ってくれば、「おかえりなさい」と出迎えてしまう。そうして男にやさしくして、そういう自分への自己嫌悪で歯噛みするほど悔しい。いわゆる「ダメなあたし」へ向けた哀歌であると同時に、ダメな男たちを暖かく包む鎮魂歌のようだ。
ああ書いていて。これはまるで私だな、と思う。いつも男に惚れこんではダメになったり、あるいは都合よく使われていることがわかりつつも、愛情に固着してしまう。ルース・エリスもだから他人事ではない。(ショック療法になるとはわかっていてもつらすぎて「ダンス・ウィズ・ア・ストレンジャー」は見られない)
で、うざい自分語りを簡略に進めると、私はルース・エリスのような状況に陥ったことが「あった」。私を熱烈に愛してくれる男がいるにもかかわらず、テメエが惚れた奴といえば、私を都合よく使い、テキトウにあしらい扱うような男。つまりMr.Fuckというわけ。そんな男とずるずるいてもダメになることは分かり切っている。つきあうわけでもない、さりとて手放すわけでもなく、どっちかにしてよという叫びを身体に抱えながら、どうすることもできない私はとりあえずセックスばかりしていた。そういう私を、そういう女であるが故に愛してしまう男も哀れだ。背中を向き合って三角形を描きつつの三すくみのような、ありきたりでよくあるソープオペラにもならない喜劇。
ジャニスは、そんな混沌の中に身を沈める私に対して「私の心をひとかけら、もっていきなさいよ」と笑う。本当はひとかけらもっていくのなら全部、皿まで食らえと言わんばかりに。そう。中途半端なことをするなら放っておいてとジャニスはMove Overで嘆く。ベイビーにんじんみたいね、という意味は、彼女によると、馬車馬のように、鼻先ににんじんをぶら下げている、そのにんじんはいわば愛で、男はそうして女を愛で釣って自分のしたいようにする、利用する。男なんてそんなもんだとわかっていても、傷ついて帰ってくれば「おかえりなさい。あの女に傷つけられたのね」とCry babyのように迎えてしまう。弱いのは誰しも一緒だからとコズミック・ブルースに励まされ、そうしてあの男との関係は、鎖でくくりつけられた鉄球のようだと、窓辺に座り降る雨を見ながら考えたりする。
さてわたしは、いったいどうしたらいいんだろう。ハニー?ダメな男とそれに惚れてしまう馬鹿な女に優しく寄り添うジャニスの唄を聞きながら、私はゆく川の流れを見つめていた。
毎度おおきに。
懐かしいっす。
また聴きたくなりました('◇')ゞ
by へー八郎 (2005-12-09 02:00)
>ダメな男とそれに惚れてしまう馬鹿な女
駄目な女に惚れてしまう馬鹿な男の間違いでは?
自分の方が魅力的であることにし続けたいといわんばかり
あんまり自分を特別視しているような女は好れない
自我が強すぎると言うか
悲劇のヒロイン気取りみたいだし(でも男っぽい自分が大好きなんでしょw
(がさつで女らしくない言い訳にね
性格が悪いだけで鬼嫁気取り
口が悪いだけで毒舌気取り
他の男には相手にされていないだけが馬鹿(で人が良い)な女気取り
世の中歪んでるな
by 最近汚れ女が増えたな~ え?「汚れじゃない!おしゃれと言え!」 (2005-12-09 06:27)
ベティーブルーを思い出しました。
しかし、、、うーむ。
コメントしにくいですね。↑こういうのがあると。
by (2005-12-09 07:48)
うにゅ~雑音が入り込んでいるようですが・・・・・
なんとなく描かれたリアルさが好きですよ。
振り返りたくなる時って誰にもある。
情けない部分を晒してなんぼの関係ってあるよなぁ。
ジャニス・・・私も好きだな。
by あんとに庵 (2005-12-10 22:37)