SSブログ

「やっぱりちょっとはさむいよね」2004年11月の映像夜間中学(後編) [映像夜間中学への旅(映像夜間中学レポ)]

(前編より続く)
■ 裸のラリーズのビデオ

真実派に対して謎派(「まあ不動産系シンガーソングライターの方もそうですけど」)として裸のラリーズ・水谷氏の話になる。

よど号事件の若林さん(ラリーズオリジナルメンバー)から暑中見舞い葉書がきてね、“コレで最後の暑中見舞いかもしれません”なんて書いてあるんだけど、それに“日本に帰ったらオリジナルメンバーでラリーズやりたいデスネ”って書いてあったの
そして流れたラリーズライブ映像。
かなり歪ませたギターノイズ、ベースとドラムが絡んで非常によいグルーヴ。前の男性とミッチェルは寝ていたけど。(あの爆音で眠れるのはすごいよな)ずーっと聞いていたいと思う。終わってしまったときは、アレ?もう?なんて思ったが、丸々20分は流していたそうだ。「水谷さんがなんでこんな大きな音でギターを弾くかっていうと、こう、トイレでうんこしていてさ、その外を小鳥がピヨピヨピヨって通ってね、ああ小鳥に見られちゃったから恥ずかしいなって思う、つまり恥ずかしいからあんなに大きな音をだすわけであるんだよ…俺にとって、金さんの話を聞くことと水谷さんのギターって言うのは、イコールなんだよね。ちょっと妄想入っているんだけど、水谷さんこそ最高の漫画家っていうか、自分が目指す漫画家であると思っている。
(うんちしているところを小鳥に見られちゃって恥ずかしい、とは電氣菩薩に出てくる某烏山系アーティストのエピソードである。)

■ デモ隊と亀一郎

で、これは真実派というかたまにこう、嘘を言ったり、取り繕ったりするわけだけど、基本的には真実派、っていう異端者の映像です」
と、まず出版社にデモをかけた人々の映像が。シュプレヒコールをあげ、ロックアウトに抗議する姿。???と思っていると、
「これはその出版社の屋上で撮った映像です
そこで切り替わった画面が、出版社屋上で“いやー鶯谷と大塚は詐欺。やっぱり渋谷のホテトルが一番ですよ。でも金高くてね。”と風俗話する亀一郎…。
亀一郎が“即尺、即ベット、ナマでやらせてくれるソープは5万6万するからね”と語るその下でデモをやる人々がうつっている。同じ画面でエロとデモが同居している。根本先生の本を読み、或いは亀一郎について知っているならわかると思うが、例によって風俗エロ話はループしている。何分かに一度は“鶯谷と大塚は詐欺だね、駄目だよ。やっぱり渋谷のホテトルが…”となる。
これで誤解して欲しくないんだけど、別にデモ隊を茶化すとかそういうのはないわけ。

■ 「さむくないかい」のワンシーン

そして『さむくないかい』のワンシーンが上映される。
大宮イチ扮する佐吉に平やンが『さむくないかい』と話しかけるトコロだけ。
こうしてね、“さむくないかい”と言われれば、ちょっとは寒いんだよ、と言いたくなる。でもジャンパーもコートもいらないよ、俺はこれくらいがちょうどいいんだよ、っていうか。後ろめたさも抱えつつ、その後ろめたさと付き合うと腹をくくるというか、覚悟と決めると、後ろめたさにもいいものがあるんだな。そして幻聴みたいにさ、“根本先生、これも神様の演出なんですよ”って声も聞こえたりね

最後にアックスに載った『近況』というエッセイを読み上げて終了した。
(根本先生によると、このたび幻の名盤解放同盟がBOXセットをだすのだけど、それについてK西さんがまたファビョって抗議FAXや電話などをしているらしい。)

会が終わって帰ろうとすると、ミッチェルが、サインもらわなくていいの?という。実は今回是非根本先生にサイン頂きたく、著作『因果鉄道の旅』を持参したのだった。しかし非常な緊張に襲われ、ついつい、いや…でも…、と帰ろうとした。するとミッチェルは、ずかずか根本先生の所へ行ってしまった。あわててついていく。
根本先生は他の来場者と話していた。
私が本をもっているのをみると、「あ、サインしますから」とその方との会話を切り上げてくださった。申し訳ないです。
根本先生は「お名前は?あ、はいはい」とずんずん書き進めてくださる。できあがったのは、“顔が吉田佐吉の精子”と「敬」の口の部分が村田でイラストされたもの!
(←コレ)
大感激!家宝にしますです。しかも一緒にお写真まで…。(大号泣)“今まで生きてきた中で、一番幸せです”(©岩崎恭子)という瞬間だったかも。私が電氣菩薩の上巻はどうやって手に入れたらよいのでしょう?と尋ねると「amazonでこっそり定価で流通させているみたいよ」(↑なぜかamazonでカートに入れられたことがあって、2ちゃんねる根本スレにも書き込まれていたことがあったが、それを指しているのだろうか?結局入れられただけで、入手不可能とのメールがamazonからきた。根本先生は2ちゃんを見ているのだろうか…。)私がamazonでは手に入れられず、調布図書館にて入手したことを伝えると「へぇー確信犯がいるんだねえ」と感心しておられた。司書さんもいろいろと思うところがあるんだろうなあ。
(このことを某不動産系シンガーソングライターが知ったら、調布市庁へものすンごい抗議をするんだろうな…まあ現状すでにすンごい抗議はしているのだが。)

ミッチェルが『先生は先ほど“水谷さんは恥ずかしいから大音量でギターを弾く”とおっしゃってましたが、先生はなにをこう…過剰にというか、防衛するためにマンガを描いていらっしゃるんですか?』
うーん、全部だね。じゃないとこんな商売はやってないよ

その“恥ずかしいからマンガを書いたり、イイ顔のオヤジにあったり本を書いたりする”という言葉を聞き、私は太宰治を連想した。彼もまた“含羞の人”であり、恥ずかしいが故、心中未遂をし、麻薬中毒になり、家庭を破壊し、小説を書いた。根本センセイの書く文章に漂う、微かでそれでいてしっかり根を張ったリリシズム、由来は“含羞”だったのか。その「恥ずかしさ」など私ごときがわかるはずないのだが、でもセンセイの言葉は、私の最も奥深いところにズッと入り込んだ。切り込むように。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。