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人権擁護法案の問題点について [たまには真面目に語ってみる(コラム)]

本稿では私の考える人権擁護法案に対する問題点を列挙いたします。

■ 人権擁護委員の構成について


第二十二条 人権擁護委員は、人権委員会が委嘱する

3 市町村長は、人権委員会に対し、当該市町村の住民で、人格が高潔であって人権に関して高い識見を有する者及び弁護士会その他人権の擁護を目的とし、又はこれを支持する団体の構成員のうちから、当該市町村の議会の意見を聴いて、人権擁護委員の候補者を推薦しなければならない。

人格が高潔ってどうやって判断するのか、文化勲章受章者?カーティス・ルメイだってもらっているぜ、などというアレはおいておいて、「又はこれを支持する団体の構成員のうちから、」という表現はなにを意図するのでしょうか。法務省人権擁護局の回答では朝鮮総連も「団体」に含まれるそうです。

 

■ 人権委員会の罷免と任期

第十一条 委員長及び委員は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して罷免されることがない。
2, 人権委員会により、心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき、又は職務上の義務違反その他委員長若しくは委員たるに適しない非行があると認められたとき。

とありますが、この決議を採択するには

第十四条 人権委員会の会議は、委員長が招集する。

4, 人権委員会が第十一条第二号の規定による認定をするには、前項の規定にかかわらず、本人を除く全員の一致がなければならない。


つまり非行があっても、全会一致でないと罷免できない。たった一人でも異議を唱えたら罷免できない。そして罷免するには上記方法しかない。

そして

第十条 委員長及び委員の任期は、三年とする。ただし、補欠の委員長又は委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 委員長及び委員は、再任されることができる。

再任について何期までという規定がない。ということはどこかの村長さんのように何十期も勤めることが理論上可能ということ。以上のことから導き出される憂慮すべき問題は「長期政権化」し、問題がある委員がいたとしても「全会一致でないと罷免できず」民意が反映しにくいということがいえるのではないだろうか。

■ 異議申し立てができない

法案原案には異議申し立てについての記述がありません。このまま解釈すると、異議申し立てができず、名誉回復は裁判所に訴訟を起こすしかない、ということがいえます。この部分については後日法務省に見解を確認するつもりです。

■ 表彰も…

第三十六条 人権委員会は、人権擁護委員、人権擁護委員協議会、都道府県人権擁護委員連合会又は全国人権擁護委員連合会が、職務上特別な功労があると認めるときは、これを表彰し、その業績を一般に周知させるよう努めるものとする。

この一文は必要なのだろうか。業績を一般に周知させるよう努めるってなにを知らしめたいのか。名誉職であることを強調していることの意味はなんだろうか。


■ 懸案事項

特定団体の介入を防げないこの原案通りだとすると、例えば差別表現に対する基準が曖昧になってしまう関係上、どうしても差別事案の摘発に偏りが生じるのではないか。

最後に、実際の「平成15年中の『人権侵犯事件』の状況について」(http://www.moj.go.jp/PRESS/040219-1/040219-1.html)を紹介します。おそらくは法務省としてはこういった事例が起こることを念頭に置いているのではないでしょうか。ただ実際にこの法案が施行されたとしてこのレベルを維持できるのだろうか。

もう少し続きます。今回はこれまで。もし前掲文章中に謝りがあると思われる場合はコメント・TBよろしくお願いします。


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生ける屍の水薬

初めましてでございます。いつも楽しく拝読しております。
この記事はとてもわかりやすい、わかりやすい!(拍手~)

…ところで例の方、無事手鏡没収の判決をくらった模様。
by 生ける屍の水薬 (2005-03-23 12:08) 

>異議申し立てができない
やっぱりここが最大の問題点と思います。強権でありながら、反論の余地がない。

>手鏡没収
鏡に罪はないって反論が(ry
by (2005-03-23 23:49) 

phantom

この法案を作ったのは誰?
賛成している議員は誰?
どこか判るサイトはないですか。
差別は嫌いだけど差別するのも人の権利だよ。
行政、法律での差別はいけないけど個人レベルの差別を取り締まるなんてナンセンス。
言論を規制したらそれこそ問題。
ネットでとんでもない差別をしている人がいるけど、人は其れを判断できるし
規制したら、少数意見なんてみんな差別にこじつけられてしまう。
つまみ読みなので誤解している部分が有るかも知れません。
この法案が可決される前に、賛成議員に個人攻撃を仕掛けるしかないです。
団体、議員の名前を晒しましょう。
そして質問責めにして矛盾を晒す。
地元の議員にみんなで質問状をだし態度を聞いたほうがいいですね。

さっそく地元議員の事務所にメールでも・・・・
by phantom (2005-03-24 08:03) 

瑠璃子

>生ける屍の水薬さま
はじめまして!So-netブログの最果てへようこそw
いつも読んでくださりありがとうございます。
結構法案を読むと穴だらけなんですよね。
メディアは批判しているという意見がありますが、解同優遇しているのでは?という部分がかけてます。たいていメディア規制について問題視しているだけなんですよね…。長期政権化なんかに触れているところあったかなあ…。

ミラーマンは失われた手鏡を求めて壮大な旅にでるのですw
>G3氏
そう。しかも異議申し立ては国家賠償法に基づいて損害賠償請求訴訟でやれ、というのが法務省人権擁護局の見解らしい。なんだかなあ。いろんな手続きを簡略化して加害者保護をまったく考えてないと思われる。被害者の申し立てが全て正しいことを前提にしている恐れがあるのですよね。非常に怖いです。とりあえず法務省に電話してみます。もうちょいお待ちを。
>おぢ
http://blog.livedoor.jp/no_ge stapo/
↑上記サイトは他blogから「問題点がある」と指摘されてはいるけれど、まとめとしてはいろいろと役に立つと思います。反対派推進派議員の名前もあります。私も詳しく調べてから記事にしますね。
by 瑠璃子 (2005-03-24 12:59) 

坂 眞

はじめまして
とても参考になりました。
by 坂 眞 (2005-05-02 01:33) 

瑠璃子

>坂 眞 様
はじめましてようこそいらっしゃいました!参考になられたようなら幸いです。ありがとうございます。いろいろなブログが賛成派反対派の立場からエントリを書いてますね。ソレを読んだ感想、新たに考える擁護法案の問題点を同和問題と絡めながら書く予定です。またUPしましたら起こし下さい。
by 瑠璃子 (2005-05-02 11:53) 

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